国際資産税とは
International property tax
国際資産税とは、海外資産に係る課税分野のことです。
海外に資産がある方に課税される所得税や資産税などが
これにあたります。
国際資産税とは
国際資産税とは、海外資産や国際相続に係る課税分野のことです。
かつて「国際資産税」という分野は、税務業界で確立していませんでした。過去には、税法が未整備であったこともあり、海外資産が相続税の対象とならない時代があり、海外に資産を移転して相続税を免れる手法が、富裕層を中心として当然のように用いられていました。
ところが、そのような手法が国税当局の税務調査によって明るみになり、さすがに不公平であるという点から、税法が改正されて海外資産にも課税されるようになりました。
以来、税法の抜け穴を利用して、相続税や贈与税を免れる手法が考え出され、更に税法が改正されるといったことが繰り返されてきました。
加えて、パナマ文書の流出事件が発生するなど、国際的に租税回避を防止すべきという機運が高まり、国税庁においても、「富裕層に対する管理強化」とともに、「課税の国際化の対応」がその施策に掲げられました。
そこで、国税庁において、資産税の分野では海外資産や国際相続に関わる案件を「海外資産関連事案」と位置づけ、別のカテゴリーとして管理するようになり、税務業界でも「国際資産税」という名称が意識されるに至ったのです。
実務的には、
① 海外資産を売却したことによる譲渡所得
② 遺産に海外資産が含まれている相続税申告
③ 外国籍の被相続人あるいは当事者が海外居住である相続税申告
④ 海外資産を 贈与したことによる 贈与税申告
⑤ 贈与の当事者の一方 又は両方が 海外居住である 贈与税申告
などが「海外資産関連事案」、すなわち「国際資産税」の分野に該当します。
国際資産税に係る案件は、
「海外資産関連事案」として管理されており、
国税庁において優先的な税務調査対象と
なっています。
課税の国際的な流れの中で、資産税の分野でもその強化が進み、海外資産の捕捉及び課税、外国籍者が当事者となる国際相続がクローズアップされるようになり、国税庁は、資産税関係の事案でも、海外資産が対象に含まれているものや海外居住者が当事者となるものについて、「海外資産関連事案」として管理し、優先的に税務調査を実施するなど、監視を強化しています。
このように、「海外資産関連事案」を対象とする「国際資産税」は、税務でもいわば「旬」といえる分野で、これまでの実務の中で全くと言っていいほど議論されておらず、課税のセオリーが未確立な面があることから、税務上の取扱いが明確になっていないことが多くあります。そのため、課税当局と課税関係を巡って争いになりやすく、一般的な資産税の案件よりも、シビアに理論武装をしておかなければなりません。
国際相続から派生する国際資産税の問題
社会経済のグローバル化に伴い、
国際結婚・国外移住を背景に、国を跨いだ
相続関係が増加、国税庁もこれまで以上に
目を光らせています
国際資産税の分野でも、近年の傾向として、国際結婚などで国外に居住する日本人が増え、被相続人が国外で相続人が 国内、またはその逆というように、国を跨いだ相続関係が発生するようになりました。
こういったケースでは、日本の相続税法の構造上、外国の法令を考慮しなければならない場合があり、 相続税法上の課税関係や相続税の計算方法に影響を及ぼします。
そのため、単に相続税の計算をするにも、国際法に基づいて基礎となっている外国の法令をリサーチし、時には法的な解釈まで読み解いて、日本の相続税法における各条文の適用関係に対して、合理的な結論を導き出す必要があります。
実際に、外国の法令に基づいた処理をしなければならないところを、日本の民法を前提に相続税を計算してしまって、 税務調査で指摘される例があるので気を付けなければなりません。